コロナウイルス

2021年9月現在

全国的に感染の蔓延期に入っており、ワクチンを接種していない小児の占める割合も徐々に増加してきております。
全体に占める小児の割合は決して多くはありませんが、感染の拡大に伴ってその割合は増えてきております。
学校や保育所におけるクラスターは散見されますが、社会全体から見ると多くはなく、小児コロナウイルス感染の多くは家族からの感染です。
当院でも小学生までは、現時点では子供から始まったコロナ感染は経験しておりません。
ご両親や親族からの感染がほとんどです。
中学生以上はクラブでの感染例を経験します。多くは、クラブ内で陽性者がいた、接触した可能性があるなど理由があります。
今後感染の拡大に伴い、感染経路不明例が出てくるかもしれません。
他にわかってる点は、小児コロナ患者については鼻咽頭よりも便中に長期間そして大量に排泄されるようです。
小児コロナ症例は成人と比べ軽症であり、死亡例はほとんど見られません。
ただし、1歳以下の乳幼児は風邪でも重症化することがあり、コロナも同様ですので、乳幼児は注意を要します。また、他のウイルスとの混合感染もあり、症状は特異的なもの(嗅覚・味覚障害は稀)がなく、診断は抗原・PCR検査が中心となります。

当院でのコロナウイルス感染症に対する取り組み

当院では以前より感染症対策には力を入れており、個室化による患者さん同士の接触の防止、土足化によりウイルス・菌の付着防止などに取り組んでおります。

  1. 可能な限り発熱者は個室で診察、お薬の受け渡し、会計を完結し、できるだけ患者間の接触を避けるようにしております。
  2. 個室の換気、消毒を徹底しておりますので、入室に時間をいただく場合があります。
    特に、コロナ疑い、確定者の診察は診察室を固定しております。そのため、個室の消毒に時間がかかりますので、個室の数を制限することもあります。
  3. 状況によっては、車でお待ちいただいて、順番が来れば電話にてお呼びさせていただきます。年長者でコロナ疑い患者で状態が落ち着いて居れば、車での診察をお願いする場合があります。
  4. 発熱者、または熱はなくても濃厚接触の可能性のある方は、ガウン・マスク(N95)・手袋、シールド・キャップをつけて診療にあたります。お子さんはびっくりするかもしれませんが、少しでも院内感染(患者・スタッフ)を減らすためのものです。
  5. 喘息・便秘・アトピー性皮膚炎・舌下免疫・花粉症などの定期診察の患者さんは、状態が安定して薬剤の変更がなしで大丈夫な場合、当面の間は長期処方・親御さんのみの受診で対応させていただきます。

受診される皆様には、可能な限りマスクの着用と手指消毒をお願いいたします。
基本的には小児においてはコロナウイルスが特に重症化する傾向は今のところは見られておりません。しかし、乳幼児や基礎疾患のある方、高齢の方にはあらゆる感染症は重症化のリスクがあります。コロナウイルスに関しては今後の変異株によっては、リスクが上がってくる可能性がありますので、通常より細心の注意が必要であると考えます。
重要なのは重症化の防止であり、それはコロナウイルスに限らず、どの疾患でもその点については変わりませんので、従来の診療とは大きくは変わりません。

コロナワクチンの小児への接種についての私見

現在コロナワクチンの適応が12歳以上になっており、接種すべきかどうか迷っておられる方が多いと思います。
個人的には、本人のことだけ考えると小児では基本的に症状は重篤となることは少なく、接種しなくてよいかもしれません。

しかし、①集団免疫(多くの人が接種することにより、コロナウイルスの拡散を減らす)という意味では、この世代が接種することによりコロナウイルスの終息には必要と考えます。

また、②現時点では家族にコロナウイルス患者が出ると、家人も社会生活(学校、会社など)を休まなくてはならなくなりますので、自営などでどうしても仕事を2週間近く休めない方などは子供への接種も考慮するほうが良いかもしれません。
私などは、仕事上で患者さんを診ているので、自分の子がコロナウイルスに感染した際に、普通に診察を続けるのは難しくなるので、自分の子には接種しました。
(子供にもその旨を説明し、納得して接種してくれました)

  1. 中学・高校生ではクラブ活動でコロナに罹患する児を散見します。クラブでは大会などがあり、陽性者がでると大会への参加を見送らなければいけないケースが見受けられます。
    大会を目指し、日々練習に励んでいた子供たちにとって、参加の棄権はつらいことだと考えます。
  2. 今後、ワクチンパスのような制度を取り入れるお店や、宿泊施設、国は出てくるかもしれません。その際、ワクチンを接種した成人は利用できるが、接種していない児は利用できないというケースも考えられます。

今までに、ワクチンにより副反応が強かった、もしくは本人が接種したくない、家族でもワクチンに対する不安がぬぐえないなどの場合は、接種を見送られるほうが良いかもしれないと考えます。

個人的な意見になりますが、以上のことを踏まえて各自で判断されるしかないのかなと考えます。

子どもがコロナウイルスに罹った時の症状

現時点(2020年8月1日)で、子どもの感染者数は成人と比べると少ないですが、感染しやすさは成人と変わらないこともわかってきました。家庭内で感染している例が多く、発熱、乾いた咳を認める一方で、鼻汁や鼻閉などの上気道症状は比較的少ないとされています。成人と同じように、発熱が続き肺炎になる例も報告されています。一部の患者では嘔吐、腹痛や下痢などの消化器症状も認めるようです。

成人で報告されている嗅覚や味覚の異常は子どもでは少ないようですが、症状を訴える事ができる10代の患者さんの報告はあり注意は必要です。感染していても無症状である可能性も指摘されていますが、子どもは正確に症状を訴えられないことに注意しなければなりません。当院で経験したコロナ患者(小児例)では症状は感冒といった感じで、発熱は成人に比し少なく、37~38度くらいの児が多く、比較的元気です。

子どもの患者が重症化する割合は成人と比べると少ないようです。しかし、成人同様に呼吸状態が悪くなることもあります。2歳未満の子どもはあらゆる感染症で、重篤化する可能性がありますが、コロナが特に重篤化するというものではないようです。 欧米からは、発熱が続き、腹痛・下痢、発疹を認める患者さんの中に、心臓の動きが悪くなるような子どもが10歳前後を中心に報告されていますが、国内ではまだ少ないようです。

子どもがコロナウイルスにかかったかもという場合

  1. 家族にコロナウイルス陽性者がいて、子供に発熱、感冒症状が出現した場合は
    感染している可能性が非常に高いので、保健所の新型コロナ受診センター
    (072-228-0239)に電話してください。
    受診医療機関を紹介してくれます。
  2. 濃厚接触者となった場合は学校・園から連絡があります。その際に
    保健センターからの指示がありますので、その指示に従ってください。
    かかりつけ医を受診するように言われた場合は、当院にてコロナウイルスの抗原検査・PCRなどを必要に応じて実施します。
    年齢や、症状によっては院内の駐車場で待機していただき、医師が車まで診察・検査に伺います。
  3. 濃厚接触や家族にコロナ患者はいないけど心配な場合。
    当院にて診察したうえで、検査は可能です。